桂小米朝の「新・私的国際学」<18>(2003年8月10日)

ハイウェイカードから5万円券と3万円券が消えた。大きな割引率がうれしく、ずっと利用していた私はがっかり・・・。表向きは「偽造カード防止のため」だが、「早く全車両をETC(自動料金支払システム)対応にしたい」というのが本音だろう。

すべての商品にバーコードを刻印し、クレジットカードで購入させる流通システムは確かに便利だ。しかも、近頃はいろんなポイントがつく。これが庶民には何より魅力。どんどんカードで買い物をし、商品の内容が元締め(国際金融センター)に集積される。便利の裏側は、管理化の徹底。

6月23日、バーコードの数千倍もの情報量が入力可能な、ICタグ(電子荷札)の統一規格が決められた。そのタグに入るマイクロチップの大きさはわずか0.4ミリ角で、紙に埋め込むことも可能だという。ひょっとして、来年度発行予定のマイクロ文字入りの新紙幣にも埋められたりして!?

同じ日に、暮らしのあらゆる場面でコンピューターを意識せずに活用できる社会を考えるシンポジウムが開かれた。そこで「衣料品の情報を読み取って洗い方を変える洗濯機」や「賞味期限切れの食品に警告を発する冷蔵庫」などの次世代商品が紹介された。また、大阪大学の塚本昌彦助教授は、「一年以内に若者の半数が、頭に小型ディスプレー、腰にノートパソコンを付けて歩くようになる」と大胆に予測。果たして、この姿って、自分で考えて行動しているの?動かされていることになりはしないか・・・。

来る25日からは、住民基本台帳システムのICカードの交付が始まる。昨年8月5日にスタートした国民総背番号制は粛々と、だが着実に進んでいたのだ。

やがて、ICカードの所持を拒んだり、ETC搭載を拒んだりする人が異分子扱いされることになるんかな。ちょっと嫌やなぁ・・・。それとはまったく気付かせずに〝奴隷化〟してしまう管理社会の完成。

いよいよ「立ち止まって考える」習慣を身につけることが重要となろう。