2022.10.14 《 倉敷ええとこ 》

桂米裕という落語家。彼は私の弟弟子にあたる米朝一門の噺家なのですが、同時に真言宗の立派な僧侶でもあるのです。岡山県小田郡矢掛町の多聞寺住職として研鑽を積んでおられるのです。

そんな彼から「兄さん、2022年10月13日に倉敷で『高野山真言宗 特別伝導 備中大会』があるんですが、法要の後に『地獄八景亡者戯』を演ってもらえませんか。前日入りで段取りさせていただきますので」との依頼を受け、喜んで伺いました(^◇^)

同行メンバーは、三味線の浅野美希さんと、三番弟子の慶治朗。そして今年2月に入門したばかりの米舞(まいまい)に、上田史嗣(うえだちかし)マネージャー。ワクワク気分で新大阪駅から新幹線で岡山駅へ。そこから在来線で倉敷駅まで一時間半ほどで到着。ホテルに荷物を置くなり、いざ散策へ——。

まずは、鶴形山にある阿智神社へお参り。参拝道がいくつかあるのですが、この日は裏手(北側)の道を登りました。のどかな氣をいただきながら境内へ。

ご祭神は宗像三女神(多紀理毘売命・多岐都比売命・市寸嶋比売命)でした。聞けば、神仏習合の時代は、西隣の観龍寺と共に、この地を護っていたのだとか。参拝を済ませ、絵馬殿に入る頃、夕刻の倉敷市街の家並みが一望できました。かつて朝鮮半島との交易を結んでいた阿智一族の栄華にも思いを巡らしました。

山を南側に下りれば、そこは美観地区。倉敷川沿いに広がる古き街並みには心が癒されます。ゆったりと時間が流れる倉敷……。ええなぁ。

さて、食事です。ふらっと入った郷土料理のお店「浜吉」は正解でした。全国各地の地酒と、新鮮な瀬戸内の肴に舌鼓を打ち、ええ具合に酔いました(^◇^;)

翌日は雲ひとつ無い晴天! 私は再び阿智神社へ登拝。今度は正面の階段からお詣りしました。手水舎にも心配りがなされている素敵な神社でした。

なんだか、すっかり落語のことを忘れているようですが、そんなことはありません。

倉敷芸文館の舞台チェックを入念に済ませ、いざ本番——。高野山の管長、葛西光義猊下の法話の後、落語の部へと移行。

『動物園』慶治朗
『地獄八景亡者戯』米團治
 三味線:浅野美希
 鳴り物:米裕・慶治朗・米舞

閻魔大王の「一芸ある者、名乗り出よ!」のところで、三味線のお美希が高座で『負けない節』と『桃太郎』を披露。閻魔大王(私)がそれに合わせて踊り出すという新しい展開が生まれました(^◇^;)

備中の皆様、ありがとうございました(^人^)

倉敷って、大きくないところがいいですね。日本文化が息づいている街、倉敷! また、ゆっくり訪ねますね。