2015.04.14 《NHK‐FM特番「京都・音巡り」第2弾 【前編】》

昨年暮れに引き続き、NHKラジオの特別番組が企画され、9日(木)、そのロケ収録が行われました。

私が京都の街を歩き、そこで出会った人々といろんな話をし、その日のよしなしごとを綴るNHK‐FMラジオの特番「京都・音巡り」第2弾(^0_0^)/

前回は松原通を歩きましたが、今回は今出川通を西から東へ歩きます。

いやぁ、今回は実にタイミング良くいろんな方に出逢えました! そのタイムリーさ加減たるや、鶴瓶兄さんの「家族に乾杯」に迫る勢い(^o^ゞ

まずは京福電車…いわゆる嵐電(ランデン)に乗って、北野線の終着駅「北野白梅町」を目指します。

0414①

北野線は四条大宮~嵐山を結ぶ嵐山本線の帷子ノ辻駅から分かれた線で、常磐~鳴滝~宇多野~御室仁和寺~妙心寺~龍安寺~等持院の各駅を通って、北野白梅町駅へと続いています。

龍安寺駅あたりが今出川通の西端に当たるんですね。

0414②

終点の北野白梅町駅で電車を降り、なにわともあれ、まずは北野天満宮を参拝。

0414③

無実の罪で太宰府に流され、非業の死を遂げた菅原道真公がご祭神です。菅公の死後、藤原氏一族に災いが続いたため、当時の御所の乾(イヌイ=北西)の方角に天満宮を創設。その後、全国各地へと広がった天神信仰ですが、北野天満宮がその大元なのだとか。

「やはり、道真の怨霊封じのために北野天満宮が建てられたんでしょうか」との私の質問に、権宮司の加藤迪夫さんは「もちろん、それは事実です。しかし、ただただ怨霊を封じただけではありません。ここ北野の地にはそれ以前から天神地祇(テンシンチギ)や雷神(ライジン)が祀られてあったのです。そこへ道真公の御霊を鎮めたので、その威徳はどんどん高まり、やがて天神さまへと昇華されたのでございます」と答えられました。

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「ここの本殿の彩色は日光東照宮に似てますねぇ」との問いかけには、「こちらが元なのです。徳川家光公はここを真似て東照宮をお作りになったのです」との返答。

そのほか、「出雲の阿国も、四条河原でかぶき踊りをする前に、この地で踊ったことが記録されている」と教えて下さいました。

そう言えば、京都の落語家の祖である露の五郎兵衛が軽口や小咄をしたのも北野天満宮の境内だったはず。

芸能先達の土地ですね☆

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学問の神様となられた菅原道真公に感謝して、境内を東に抜けると、そこは京都五花街の一つ、上七軒! 先日「北野をどり」を観賞し、その夜、お座敷で大いに遊んだとこ(^o^ゞ

お茶屋の「市」さんをふらっと覗いたら、ちょうど杵屋利光さんが長唄指導のために東京からお見えになっていました。

久しぶりの再開に旧交を温めて、次に、来月末「南光・米團治・吉弥三人会」が開かれる上七軒歌舞練場に行くと、今度は芸妓の梅葉さんが綺麗に着飾っておいででした(^0_0^)

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しばし彼女と談笑し、「また来るね」「お頼申します」と挨拶を交わし、上七軒を後にして、今出川通りを東へ東へ──。

西陣界隈へと差しかかります。

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今出川通を少し北に上がった所──、西陣中央小学校の近くの町屋で男物専門の西陣織を営む鳥居良株式会社。

店に入るなり、落語の世界に出てきそうな商家の佇まいであるのにビックリ! 思わず顔がほころびました(^ー^) でも、着物は綻びてませんので、ご安心を(^o^ゞ

いや…それどころか、京の伝統産業を次代に引き継ぐ精神を大いに感じ取ることができ、感服した次第☆☆☆

お礼を述べて店を後にし、再び今出川通を東へと歩きます。

堀川今出川の交差点を渡った北側にあるお宮さんが、白峯神宮(シラミネジングウ)。

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ご祭神は崇徳天皇と淳仁天皇。

ここにも無念の思いを抱きつつ他界した貴き御方が祀られていたとは…。京都は王城の地。それゆえ、歴史の闇に葬られてしまった大宮人も沢山おられたのでしょうね。

崇徳上皇の詠まれた「瀬をはやみ…」という和歌は、上方落語『崇徳院』にも頻繁に登場します。このネタによって初めて「百人一首」に興味を持ったという噺家も少なくないのです。

0414⑨
手水で身を清め、心を込めて参拝しました。

実は、この神宮はお公家さんの遊びである蹴鞠(ケマリ)の神事を司ってきた飛鳥井家の敷地に建てられたことから、鞠の守り神のお宮さんとしても知られており、サッカー・野球・ラグビー・バレーボールなど、球技に纏わるスポーツ選手の参拝も多いのだとか。

境内には全国各地から奉納されたボールが所狭しと飾られていました(^0_0^)

権禰宜の北村友湖さんにお話しを聞いている内に、蹴鞠の鞠を見てみたい衝動に駆られ、不躾に「ちょっと見せていただけませんか」とお願いすると、特別にそっと奥から出してきて下さいました(^∧^)

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生まれて初めて蹴鞠を手にしました。鹿の鞣し革で作られており、めっちゃ軽い! 僅か、150g。ソフトボールより大きくて、ハンドボールより小さいサイズ。

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蹴鞠、初体験!

三回だけ続いたよ(^o^ゞ ある種、サッカーより難しいかもf(^^;

白峯神宮を出ようとした時、境内の北東奥に「潛龍社(センリュウシャ)」という面白そうなお社を発見。

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1955(昭和30)年11月23日の御火焚祭の時、火焔の中に「龍神が出現した」との評判が広がり、祠が建てられたとのこと。

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今でも潛龍社の下には水脈がしっかりと存在しているのだとか。綺麗な湧水が“笑い龍”の口から渾々と溢れ出るさまが、なんとも微笑ましい(^o^)/

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また、境内の南東角には神様を降ろす小賀玉(オガタマ=招霊)の木も聳えています。

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白峯神宮には備わるべきものが備わっているなぁと感じた次第。

さぁ、今出川通を再び東へ──。続きは後編で☆

     (後編に続く)