2023.12.28《全国共同制作オペラ2023、盛況狸に!》

今年の秋から冬にかけてはオペレッタ『こうもり』に参加し、貴重な経験をさせていただきました。

私は知らなかったのですが、全国共同制作オペラという組織があり、毎年、日本各地の劇場や音楽堂と芸術団体がともに協力して新演出の舞台を作っているのだとか。

今回の演目は、ヨハン・シュトラウス2世作曲による全三幕のオペレッタ『こうもり』。滋賀県(びわ湖ホール)と東京都(東京芸術劇場)と山形県(やまぎん県民ホール)の三カ所での上演。阪哲朗指揮、野村萬斎演出という異色の顔合わせ。声楽のソリストには、福井敬・森谷真理・田崎尚美・山下浩司・藤木大地・与儀巧・大西宇宙・青山貴・幸田浩子・晴雅彦・佐藤寛子という日本最高峰の方々が集まりました。そこに私も入れていただいたのですから、無上の喜び!

萬斎さんは「オペラ(歌劇)とオペレッタ(喜歌劇)の違い」が「脳と狂言の違い」に似ていることに着目し、狂言特有の「見立て」の精神で舞台美術を構成されました。舞台上には常に12枚の畳があり、それが場面ごとにさまざまな大道具として変化するのです。ウィーンでの話となっている原作を、明治時代の日本の話に置き換えて脚色されたアイデアには脱帽!

いざ、開演—————。お客様は、筋書きを読むことも無く、オペレッタの世界に素直に入って来られ、約三時間の萬斎版『こうもり』を満喫されたようです。笑い満載、そして感動!文筆家の小田島久恵さんも絶賛して下さいました。

https://agora-web.jp/archives/231130001816.html

滋賀・東京・山形、三公演とも大入満員!今回の巡業は舞台スタッフと声楽ソリスト達はほぼ同じメンバーでしたが、オーケストラと合唱団はそれぞれの地域のメンバーで構成されました。オーケストラに関しては、びわ湖ホールが日本センチュリー交響楽団、東京芸術劇場がザ・オペラ・バンド、やまぎん県民ホールが山形交響楽団というふうに。指揮者は同じなのに、毎回、音楽の雰囲気が微妙に変わり、生の醍醐味を味わえました。この一座に参加できたことを本当に嬉しく思います。

今年は春から夏にかけての、わかぎゑふ演出による『伊之吉の千両茶碗』と言い、秋から冬にかけての喜歌劇『こうもり』と言い、大きな学びとなる舞台に出演することができ、とても幸せでした。心より感謝いたします!