2014.02.04 《旧暦のすすめ》

今年は1月31日が旧正月でした。中国は今、春節祭で大いに賑わっていることでしょう。

 

日本も明治初年までは旧暦(太陰太陽暦)を使っていたのに、文明開化とやらで西洋化のうねりの中に飲み込まれ、明治6年から新暦(太陽暦)をかなり強引に採用してしまったのです。

 

私は今なお、約ひと月遅れの旧暦に戻せたらよいのになぁと本気で考えている一人です。

 

旧暦で世の中を眺めると、日付と季節感がピッタリと符合するんです。

 
 

 

正月には門松の中の梅が咲き出し、三月三日のお雛さんには桃の花で彩られ、五月五日の端午の節句には菖蒲が咲き誇り、七月七日の七夕には満天の星が拝めます。

  

しかし、新暦を採用する際、西暦の日付にそれまでの日本の歳時記をそのまま当てはめたため、季節感がそぐわぬ事態が生じることになってしまいました。

  

旧暦を大切にしてこそ、日本の文化も深く味わえるというもの。和食も世界文化遺産に認定されたことですし、これを機に暦も太陰太陽暦を世界基準にする運動を起こそうではありませんか(^0_0^)

 

ここで、旧暦(太陰太陽暦)の年始はどこを基準にしているのかということをお話し致しましょう。

 

今年は1月31日が旧暦での1月1日でした。その夜はお月さんが新月●で、少しも見えませんでしたよね。

 

旧暦──すなわち太陰太陽暦は、月の満ち欠けと地球の公転軌道との組み合わせで日付けが決まります。

 

お月さんの満ち欠けに要する日数は、29日か、30日。30日ある時は大の月、29日しかない時は小の月と言います。

 

ですから、旧暦(太陰太陽暦)では毎月おついたちが●新月で、十五日が◯満月となります。そして、三十日(ミソカ)には再び●新月に戻ります。十五夜が満月である所以(ユエン)がここにあります。

 

 

日付と月の満ち欠けが符合しているから、とても合理的です(^0_0^)

 

これに対して、西暦──すなわち太陽暦は、地球の公転軌道をほぼ12等分して月の長さを決めています。したがって、大の月は31日となり、小の月は30日となります。日付と月齢は符合しません。

 

但し、旧暦にも難点があります。旧暦での1ヶ月の長さは「月の満ち欠け」であるため、ひと月の長さが約29.5日となり、12ヶ月経っても公転軌道を一周することができません。太陽の周りを廻り切るのに、あと10日ほど足りないのです。1年で10日足りないということは、3年で約ひと月分ずれる勘定になります。そこで、いにしえの東洋の天文学者は、3年に一度、閏月(ウルウヅキ)なるものを設けて調整したのです。やはり…合理的ですよね(^0_0^)

 

さて、旧暦の正月をどこに持っていったかと言うと、二十四節季の一つ、雨水(ウスイ)を含む月の満ち欠けを正月と定めました。

 

二十四節季は地球の公転軌道の春分点・秋分点を基準にして24等分したもの。立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨…と続く節季です。その雨水にかかる月を正月としたのです。

 

したがって、旧暦では概ね、立春の少しあとぐらいに1月1日が来るようになっていたのです。

 

 

ところが、たまに立春より前に年始(新月)が訪れることもあります。実は、今年がその年。立春が来る前に正月が来るのは珍しいことなので、昔からそれが和歌にもよまれています。

 

「年のうちに 春は来にけり ひととせを 去年(コゾ)とや言はむ 今年とや言はむ」 在原元方(古今和歌集)

 

ところで──。

 

西暦の正月の基準は、イエス・キリストの誕生日の8日後をもって年始としたことに拠るのです。

 

 

イエスの割礼の日──すなわち、男児の生後8日目にオチンチンにキズを入れる…包茎防止手術とも言えるユダヤ教の儀式の日をもって、1月1日と定めたのです。

  

のちに律法学者パリサイ人によって十字架に磔にされたイエス・キリストであるのに、今なお西暦の年始がユダヤ教の割礼の儀式を基準として定められているのも皮肉な話ですね(^o^ゞ

  

それはともかく、太陽暦はその後、ローマ・カトリック教会の影響を受け、ユリウス暦からグレゴリウス暦へと進化していきました。

 

面白いことに、西暦に3760年を足して数えるユダヤ暦は、実は太陰太陽暦なのです。また、西暦622年にマホメット(ムハンマド)によって開かれたイスラム暦(ヒジュラ暦)は厳然とした太陰暦です。

 

私が旧暦(太陰太陽暦)を世界基準に提唱しているのも、あながち荒唐無稽なものではないということが少しはお分かりいただけましたでしょうか(^o^ゞ

 

まぁ、旧暦が再び採用される日が来るまでは、せめて各々の心の中に“旧暦での考え方”だけでも身につけておこうではありませんか。日本文化を次代へ伝承させるために☆☆☆