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小米朝流「私的国際学」<13>(2001年3月31日)

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手前味噌をお許しあれ。本日、大阪府貝塚市のコスモシアターでおぺらくご〝こしあん取って!〟が上演される。落語とオペラの融合だ。


かねてより、モーツァルトの生まれ変わりと自認してきた私は、何とか彼のオペラの真髄をわかりやすく提供できないものだろうかと考えた末、到達したのが〝おぺらくご〟だった。


第一弾は『フィガロの結婚』改め〝背広屋の利発な結婚〟。第二弾は『ドン・ジョバンニ』改め〝ドンならんな〟。そして今回、『コシ・ファン・トッテ』改め〝こしあん取って!〟の誕生となる。


原作は三つともダ・ポンテの脚本で、オペラブッファと呼ばれている喜劇だ。このイタリア語の台本を強引に上方の世界へ持ってきた。仕立て直した作家は、音楽評論家の響敏也氏。


彼いわく、イタリア語と大阪弁はリズムが似ているとか・・・。イタリアーノ、ナポリターナ、ペスカトーレに対して、食べたりーな、飲んだりーな、早よしたりいな。なるほど、抑揚のつけ方がそっくりだ。


〝こしあん取って!〟は昭和初期の大阪、船場を舞台に繰り広げられる浪花あきんど物語。老舗の饅頭屋での恋人争奪戦だ。登場人物は旦那、お嬢さん二人、女御衆(おなごし)、そして職人二人。オペラ界の第一線で活躍されている声楽家の方々がこれに扮する。


下手の高座で演じる私の落語に合わせて、着物姿の歌い手がパントマイムで動く。いざアリアが始まると、オーケストラが奏でるモーツァルトの調べにのせて、大阪弁で朗々と歌い上げるのだ。


落語なのか新喜劇なのかよくわからない。ひょんなことから、関西発の総合芸術ができてしまった。よろしかったら、このこしあん、ご賞味あれ。