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小米朝流「私的国際学」<4>(2001年1月27日)

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今日(1月27日)はモーツァルトの誕生日。彼の生まれ変わりと確信している私にとっても祝福されるべき日なのだ。


18世紀の天才音楽家モーツァルト。オーストリアのザルツブルクに生まれてからウィーンで亡くなるまで、彼の人生は旅の連続だった。当然、語学にも長けていた。フリーメーソンのための曲を作ったほどの国際派。35年という短い生涯であったにも拘わらず、彼の作品は国を越え、時を超え、21世紀の今日に色あせず響いている。


彼の音楽にはメッセージ性がない。生きとし生ける者の喜びや苦悩を表現したベートーヴェンとは対照的だ。『クラリネット協奏曲』など人生の到達点を感じてしまう。まさに天上界の音を創り出したモーツァルトは最後のオペラ『魔笛』の中で、初めて大いなるメッセージを吹き込んだ。


善だと思った夜の女王は偽善だった。悪だと思えたザラストロは正義だった。鳥刺しだと称するパパゲーノは籠の中の鳥、つまりは凡人の代表だった。真理を究めたのはタミーノ王子だった(台本には日本の衣装で登場とある・・・ひょっとして聖徳太子!?)。


『魔笛』は国際感覚が秘められたおとぎ話なのだ。モーツァルトを知ることはグローバルな生き方をする上で役立つよ。


毎年1月にスイスのダボスで行われている世界経済フォーラム年次総会が、今年も25日に開幕した。日本の指針が定まる第一級の国際会議と言ってよい。我が国のお歴々が最も緊張するのはフォーラムの後の晩餐会。オペラの話になろうものなら、急に俯いてナプキンに“の”の字を書き出すとか。せめてモーツァルトぐらい語れたらなぁ・・・。


結局、日本はこれまでずっとパパゲーノ役を担ってきた。籠の中で踊らされてきた。今年はダボス会議に森首相も出席されている。この堂々たる体格のパパゲーノは、果たしてタミーノ王子を見つけ、魔法の笛を鳴らすことができますかどうか。