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2014.12.17 《NHK・FM特番「京都・音巡り」 【後編】》


さて──。
 
「半げしょう」を後にし、再び東に歩くと、「菱六 もやし」という看板が目に留まりました。
 
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古い店構えです。店頭には「甘酒、試飲できます」としてあり、横には糀(コウジ)の見本が置かれています。
 
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声をかけたら、若い男性が出て来られました。この家に生まれ育ち、この店を継いでいる(しかし、自分が何代目かは分からない)という助野彰彦さんから“もやし”についてお聞きしました。
  
“もやし”とは、種麹(タネコウジ)のこと。種麹とは、米麹(コメコウジ)の元になる菌。大量に蒸した米に種麹を入れて、室に移して米麹を作り、酒造会社や味噌や醤油の工場に出荷するのだとか。一口に米麹と言っても、何十種類もあり、非常に微妙な作業であるとのこと。京都ではこの店だけになり、全国でも5軒しか残っていないそうです。
 
(砂糖も添加物も使っていない)米麹の発酵だけによる甘酒を飲ませていただきました(^q^)
 
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これぞ本物の味!  実に美味でした☆☆☆
  
ちなみに、「麹」は支那から来た文字で、「糀」は日本で生まれた文字だそうです。米に付く胞子のさまが花が咲いたような形状に見えることから「糀」という字が作られたのだとか。
 
さて、「菱六」の近くには、補陀洛山「六波羅蜜寺」がありました。
 
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平安時代、空也上人が(喰うや喰わずで)民衆に広めた念仏踊り。お上からお咎めを受けるに至った空也踊躍念仏(クウヤユヤクネンブツ)は六波羅蜜寺の住職の口伝で代々伝えられてきたとのこと。
 
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今も12月13日から30日までは参拝者とともに本堂で唱えられているというので、現在のご住職、川崎純性さんの案内で、私も参加させていただきました(^∧^) とても心が律せられた気がしました↑↑↑
 
そもそも、波羅蜜とは彼岸(悟りの世界)に到るための修行という仏教用語。六波羅蜜とは六つの波羅蜜、すなわち布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧の意。それらを体得してこそ、仏の境涯に到ることができるのだそうです。
 
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宝物殿に安置されている空也上人像(口から六体の阿弥陀さまを出している姿)は歴史の教科書でしか知りませんでしたが、実物は迫力がありました。
  
空也上人の時代から、寺号や宗派が色々と移り変わってきた六波羅蜜寺──。現在は真言宗智山派のお寺です。
 
ご本尊の十一面観世音立像は辰の年にだけ開帳されるとのこと。その奥の秘仏、大聖歓喜天の御廟からはとても強い力が発せられているようでした(゜ロ゜)☆☆
 
六波羅蜜寺を出て、すぐ目に留まったのが「幽霊 子育飴」という看板!
 
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ここは500年近く続いている日本最古の飴屋なのだとか。「みなとや幽霊子育飴本舗」の店主は、なんと二十代目の段塚きみ子さん。
 
きみ子さんの話によると、「1599年のこと。ある夜、女性が銭一文を持って飴を買いに来た。毎晩それが続いたが、七日目からの銭は翌日になると木の葉に変わってしまう。さては、三途の川の渡し銭の六文を使い切った幽霊かと訝り、あとをつけると、鳥辺山の墓場で消え失せた。その女はお腹に子を宿したまま死んだのだが、母親の一念で飴を舐めさせ、子を育てていたのだった。塔婆を掘ると子供が生きていた。のちに、その子は六波羅蜜寺の僧侶になったという」とのこと。
 
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実は、上方落語にも『幽霊飴』という噺が伝わっています。尤も、落語では「その子は清水坂を越えて高台寺まで行き、そこの僧侶になった。それもそのはず、母の一念、子を大事」というオチが付いているのですが(^o^ゞ
 
さて、いよいよ松原通りの東端、音羽山清水寺へ向かいます。
 
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明暦年間(1650年代)に創業したという老舗「七味家本舗」で山椒の香りが際立つ七味唐辛子を買い求め、清水坂を登坂。
 
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落語『景清』の主人公、定次郎が清水坂を歩く件りは哀れを誘いますが、平成の時代では連日、修学旅行生と外国人観光客で大賑わいです。しかし、その雑踏の中、参道の横に「大日堂」と書かれた静かなお堂を見つけました。
 
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立ち寄ると、そこには東日本大震災の時の陸前高田市流木で作られた大日如来座像が安置されていたのです。
 
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私は、真摯に仏さまと向き合いました。
 
祈りの精神を学びました。
 
訊けば、ここは清水寺の塔頭の一つ、真福寺。大層賑やかな参道を向いて静かに座っておられる大日如来の姿に、私は心を打たれました。
 
東西に延びる松原通──。いろんな人と出会いながらたどり着いた清水寺は、格別でした!
 
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堂々と聳える仁王門。
 
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仁王門をくぐり、本堂に入り、ご本尊に手を合わせます(^∧^)
 
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ところで──、
 
米朝の演じる『景清』では、清水寺のご本尊を「楊柳観世音」と言うていますが、看板には「十一面観世音」と書かれてあります。果たして、どちらが正しいのか?
 
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また、実際に「清水の舞台」から飛び降りた人はいるのか?
 
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はたまた、『はてなの茶碗』の舞台ともなっている「音羽の滝」の水は飲めるのか?
 
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そのあたりの詳しい話は、どうぞラジオでお楽しみ下さい(^ー^)/
 
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放送は12月31日(水)の13時~14時。大晦日のお昼過ぎ、NHK・FMをお聴きあれ☆☆☆