What is Rakugo?=落語って何やねん? (2010.08.16)

まずは私のこともよく知らない人のために、落語についてなるべく分かりやすく説明いたしましょう。題して、「What is Rakugo?=落語って何やねん?」

私は落語家です。舞台で落語をしゃべることを職業にしている人のことを落語家(もしくは、噺家)と言います。

落語とは日本の古典芸能の一つです。と言っても、能や歌舞伎などのような演劇ではなく、語りの芸(英語で言うところのストーリーテリング)です。多くの国で、立ってしゃべる形態はよく見かけますが、落語は座ってしゃべります。着物を着て、座布団の上に座ってしゃべるのです。

普通の語り部なら、例えば「ある日、男の人が「こんにちは」と訪ねてきました」としゃべるところを、落語家は「こんにちは」「おう、こっちぃ入り。久しぶりやな、何してんねん」「忙しいてね」という具合に、ほとんどすべてを会話の形で運ぶのです。

つまり、一人の演者が何人もの人物を演じ分けて、お客さんはそれを聴きながら場面を想像していくのです。演者の顔を見ながら、落語の世界を頭に描いていくというわけです。

落語家は座布団の上で、男になったり、女になったり、子供になったり・・・。瞬間的にニン(人物)を変えられるのは、正座しているからできることだと私は思います。ちなみに、歩いたり走ったりする動作もすべて座ったまま行います。落語とはお客さんの想像力に委ねられた芸だと言えましょう。

そのほとんどが愉快な噺です。たまに泣かせる噺もありますが、それでも「笑い」が基盤になっています。噺の最後には「オチ」が付きます。オチを説明するのは難しいのですが、物語の終止符を打つための手段なのです。ときに言葉の洒落だったり、話の状況を一気にひっくり返すドンデン返しだったり・・・。物事をクソ真面目に考える人が聴くと、怒り出すかもしれません(笑)。落語は世相を斜めから見ている芸だとも言えましょう。最後にオチが付くから、落とし噺---落語と言うわけです。

(続きはまた次回)