2011.07.23 「小出裕章さんの著書」

40年間、専門職の立場から一貫して原子力発電所の建設・稼働に反対して来られた京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんの新しい本が発売されました。その名も『原発はいらない』(幻冬舎ルネッサンス新書)。


これまでの小出氏の著書、すなわち「3・11」以前に書かれた『隠される原子力、核の真実』(創史社)や、福島原発爆発後に出された『原発のウソ』(扶桑社)などでも言えることですが、どの本の著述にも科学者としての誇りが感じられます。「国際金融財閥や日本政府の富裕層にへつらう御用学者には決してならない」という気概が感じられます。“熊取六人組”と揶揄されようが、いつまで経っても教授になれないであろうが、「そんなことはどうでもいい。原子力の専門家として危険なものに安全のレッテルを貼るわけには行かないんだ」という科学者としての精神に満ち溢れています。


これらの本が今どんどん売れている事実。そして、毎日放送ラジオの『種蒔きジャーナル』での小出裕章さんのコメントが評判を呼び、ラジオが聴けない地域でのインターネットによる聴取率がかなり高くなっている現状を鑑みるに、「遅きに逸したかも知れないけど、日本から原発がなくなる日がホントに来るかもしれないぞ」という思いに駆られます。東電や関電で細々と天然ガスのコンバイン方式による火力発電に従事している人達が陽の目を見る時代が来る予感! でも、小出裕章さんはこうもおっしゃいます。「たとえ明日、原子力発電所の運転をすべて取り止めることができても、すでに生み出された使用済み核燃料(死の灰)の処分方法はなんら定まっていないのです。莫大な量の放射性物質を暴発させぬためにも、今後、何十年何百年にわたって、日本で原子力の専門家を育てて行かなければならないのです」と。


解決しなければならぬ問題はそれこそ山のようにあるでしょうが、「3・11」を境として、大企業の利潤と既得権益優先だった日本の体制が変わりつつあることを肌で感じる今日この頃です。でも、それは国民一人一人の意識の変革と、ちょっとした勇気がないかぎり、実現しないことでもありますね。私は今日も笑いで人を癒します(^ー^)