2011.03.28 「人間国宝、再びサイン100枚」

東日本大震災の被災者への義援金作りの一環として、上方落語協会が推し進めているサイン入り手拭いの発売。 米朝・春團治・三枝・鶴瓶の直筆サイン90枚は販売開始から7分で完売でした。 それに気をよくした執行部が 「もう百枚…」 と言ってきました。 そして、春團治・三枝・鶴瓶のお三方が書き上げられて、ウチに回ってきました。 露の都ねえさんの旦那でもある上方落語協会事務局長の小山さんが 「何とか米朝師匠に書いてもらえないでしょうか…」 と懇願の目で私を見つめます。 「まぁ、頼んでみるだけは頼んでみますけどね…、こないだもかなり疲れてたみたいですしねぇ」 と、困惑の目で応じた私は、手拭い百枚の束を米朝宅に持って行きました。


「なんや?」 と、ウチの親爺。 「実は、こないだの手拭いのサインが好評で、もう百枚」 「何やて!?」 「いや、あのぅ…書けるだけでいいんですが…」 「百枚てな、無茶苦茶やがな 」「そうです、無茶苦茶ですわ。 僕も無理やっちゅうて怒ったんですよ。 ホンマに協会も何を考えてんねやろ。 こんなん無理ですよねぇ」 「いや…そないヤイヤイ言いなぃナ。 サインはどこへ書いたらええんや」。


米朝師匠に物をお願いする時は、否定的に働きかけるほうが応じてもらいやすいということは、弟子はもちろん、マネージャーもちゃんと心得ている所であります。


それでも、しんどい表情をみせているので、 「ちょっと、これ飲んで元気つけましょう」 と手持ちのコーラをグラスに入れて差し出すと、ぐぃっと一口。 表情が変わりました。 気付け薬になったんでしょうか。 ペンを持つなり、スラスラと書き始めたのです。


一旦、書き出したら、もう止めてなるものか。 百枚書くのが当然であるが如く、次々と手拭いを出してゆきます。 途中、二度ほど 「もうアカン」 という素振りを見せ、字が乱れかけましたが、私が 「あ、これも面白い字ですね」 とか、「だんだん味のある字になって行きますね。 わぁ~、これ、ええ字や」 と、おだてながら(失礼)、どんどん書いてもらいました。 最後は 「あと19枚、18枚…」 と、カウントダウン。


無事に百枚書いていただきました 。所要時間、40分。 近々、天満天神繁昌亭にて5000円で売られますので、ファンの方は上方落語協会のホームページに注目しておいて下さいね。

  4人のサイン入り手拭い