小米朝流「私的国際学」<34>(2001年9月15日)
まるで映画を見ているようだった。米国での同時多発テロ――ニューヨークの摩天楼に旅客機が突っ込み、世界貿易センタービルが炎上、倒壊した。映画と違ったのは、セットではなく、本物だったこと。被害者のご家族の心痛はいかばかりか。
さらに驚いたのは、街行くパレスチナの市民たちが笑顔でVサインをしていたこと。彼らにとっては「勝利の日」だったのだ。
そもそも彼らは、第二次世界大戦後に国連(連合軍)主導で建国されたイスラエルによって、1967(昭和42)年に自分たちの土地(東エルサレム、ガザ地区、ヨルダン川西岸、ゴラン高原)を占領されてしまった。以来、アメリカから潤沢な資金を供給されているイスラエル軍によって脅かされてきた。今回のテロを彼らが喜ぶ理由がここにある。
だが、そんなことは百も承知のブッシュ大統領は、「テロリストを擁護する国に攻撃を!」と血気盛んだ。これに同調すると、結局、世界の軍需産業をつかさどる軍産複合体がもうかるだけになりはしないか。日本は再び湾岸戦争のときの道を歩んでしまうのでは・・・。
ちなみに、私は〝有事法〟の成立には賛成だ。国を守る上でも、自衛隊の活動形態は成文化すべきだと思っている。
でも、それと今回の事件は別問題。混同したら危ない。基本的にはアメリカと反米グループとの争いなんだから。どうも、世界大戦への筋書きが感じられて仕方がない。米国中央情報局(CIA)は9月初めにテロ勃発を予期していたというし、一機目のビル激突の瞬間を撮影できたメディア(ガンマ・プレス)って、どんな会社なの?
やはり、われわれは映画を見ていたのかもしれぬ。主役は民間人をも巻き込む極悪非道のイスラム系過激派。果たして、シナリオライターはだれなのか・・・。じっと傍観していたら見えてくる。いま、日本が登場人物になる必要はないんじゃない?