2014.03.19 《「美案寄席」で福岡へ──。by 米輝》

15日(土)は、福岡の三人の女性が運営する「WMKエージェンシー」さん主催による『美案寄席』でした。

 

三人のお名前(和歌子・美代子・加奈子)の頭文字をアルファベットで繋いで、WMKという会社名ができたのだそうです。

 

当初、この会には師匠がひとりで行かれる予定でしたが、最近の師匠は『米朝落語全集』の校閲作業でお疲れ気味のご様子で、

 

「荷物が多いから、米輝も一緒に来なさい」

 

と、声を掛けていただき、荷物持ちとして同行する運びとなりました。

 

 

会場は福岡市中央区警固(ケゴ)にある「森本能舞台」です。ここは観世流シテ方の森本哲郎さんが個人でお持ちの能舞台で、落語など、能狂言以外の芸事にも貸して下さっておられるのだとか。

 

師匠が「古小烏耳鼻咽喉科」という看板を見つけ、「珍しい名前ですね」と、スタッフの方に訊いたところ、小烏とはこの辺の地名なのだとか…。「すぐそこに小烏神社もあるんですよ」との言葉に、急に師匠の目が輝きだし、「そこ、行きましょう!」と、スタッフを先導するように歩き出されました。

 

 

凄い速足・・・。「師匠、本番はこのあとですよ」などと、私が言えるはずはございません。

 

 

そして、師匠は神社の由緒書の立て札を食い入るように眺め、「米輝、凄いなあ。ご祭神は、建角身神(タテツヌミノカミ)やて。神産巣日神の孫神に当たるんや」「・・・何がどう凄いのか、わかりません」などと言えるはずはなく、私は「本当に凄いところですね」と答えた次第です。

 

 

でも実際、小さいながらも、とてもいい雰囲気の神社でした。

 

さて、そうこうしてるうちに、開演の時刻が近付いてまいりました。

 

この会の出演者は師匠ひとりだけ・・・の予定だったのですが、

 

「せっかくやから米輝、前座でしゃべりぃな」

 

との、有難いお言葉──。急遽、私は前座も勤めさせていただく運びとなりました。

 

『子ほめ』 米輝

『代書』 米團治

   〈中入〉

『はてなの茶碗』 米團治

ひとり狂言『船々(フネフナ)』 米團治

 

最後の“ひとり狂言”は、「せっかくの能舞台やし、中学生の時に茂山千之丞さんから習った狂言をここで一人でやってみよかな」と、師匠が直前に思い付き、じつに40年ぶりにやられたのだそうです。

 

わたしも自分の着替えや楽屋の片づけを後回しにし、袖からしっかりと拝見いたしました。ええもん見せていただきました!

 

終演後、私は新幹線で大阪へ戻りましたが、師匠は福岡泊まりです。

 

 

WMKエージェンシーを中心とした美女スタッフ数人に誘われ、食事会に行かれました。

 

さぞ楽しいひとときを過ごされたことと思います。

 

        By 米輝

 

【米團治から一言】

 

はい、楽しいひとときを過ごしました。

 

 

お店は、プラザホテルプルミエに入っているイタリア料理の「OSTERIA INCROCI (オステリア インクローチ)」。

 

 

インクローチとは交差点という意味のイタリア語。ヨーロッパと九州の旬の食材が織りなす食のハーモニーを堪能しました(^q^)

 

 

そして、何より、森本能舞台の凛々しくもまた穏やかな空間に立つことができ、大変嬉しく思いました。

 

橋懸かりは、日常から非日常へ…すなわち、夢の世界への梯(カケハシ)であることを再認識しました。

 

ご来場の皆様、まことにありがとうございました(^人^)