2012.12.12 「お箸取りの儀が結婚披露宴で披露」

先日、私は久しぶりに結婚披露宴の司会をしました。若い頃はよく頼まれて、できる限り応じてきたのですが、披露宴は新郎新婦にとっては一生に一回のこと。まぁ、なかには二回三回する人もありますが…、大抵は一生に一度の大イベントです。失敗は許されません。加齢とともに、名前を暗記したり、肩書きを間違えずに言う自信が無くなってきた私は、もう長いこと司会の座から遠のいておりました。

 

でも、先日、大阪・宗右衛門町の和菓子屋「福壽堂秀信」のご主人である岡本敏嗣さんから、「ウチの息子が結婚しますねん。是非とも司会を!」との依頼を受けたのです。岡本さんには以前から「ミナミ花舞台」などで大きなお力添えを頂いてきたものですから、「私でよろしければ」とお引き受けした次第。

 

大阪・中之島、リーガロイヤルホテルのロイヤルホールに約280人が食卓を囲み、乾杯前には山村流六世家元、山村若さんによる地唄舞『萬歳獅子』も披露されるという豪華な宴。私もあの手この手の司会術を駆使し、しかも出しゃばりすぎずに、華やかな披露宴となるよう努めたつもりです(^ー^)

 

驚いたのは、ウェディングケーキ入刀の代わりに「お箸取りの儀」が執り行われたこと。

 

これはその昔、京都の宮中で行われていた婚礼の時の儀式だそうで、お公家さんの婚儀では両家の紋の入った紅白の丸い和三盆の干菓子を作り、それを二段重ねの華束台(ケソクダイ)に乗せ、新郎新婦が互いに箸で取り分ける儀式なのです。

 

華束台には干菓子のほかに豪華な生菓子も盛られ、松竹梅や牡丹の花など縁起の良い植物で彩りを添えるのですが、これらはすべてお菓子で作られています。松の葉も、牡丹の花も、すべてお菓子。菓子職人の松田淳さんを中心とするスタッフが4ヶ月がかりで完成させたという値打ちもの!

 

 

祇園祭の山鉾のミニチュアのような雰囲気でもあり、大勢の注目を集めていました。さすが老舗の和菓子司!

 

これまでサントリーの営業部で研鑽を積んできた新郎の將嗣くんは、来年から家業に入ることになるそうです。綺麗な新婦の江里子さんと末永くお幸せに(^ー^)