2011.12.11 「ざこば兄貴、マフラー紛失…でも、見つかる」

沖縄から戻ると、大阪はメッチャ寒かった。南国から一転、冬将軍の中、仕事が再開です。

 

10日(土)、11日(日)は朝日新聞主催の「桂米朝一門会」でした。

 

10日は富山県国際会議場にて。

『時うどん』ちょうば

『動物園』こごろう

『運まわし』雀々

『佐野山』南光

   〈中入〉

『桃太郎』米團治

『天災』ざこば

 

11日は広島県民文化センター福山にて。

『普請ほめ』二乗

『向う付け』紅雀

『桃太郎』米團治

『素人浄瑠璃』南光

   〈中入〉

『親子酒』雀三郎

『天災』ざこば

 
 毎回、舞台チェックは入念に行います。

 11日の同行マネージャーは長身の滝川さんと、中背の三星さん。

 若手出番の紅雀&二乗とともに。

 毎回美味しい楽屋弁当。
これは日本料理「川長」の京風弁当“四季の華”。ここに丁度30品目入ってました(^q^)

 

ざこば兄さんはいつも元気。特に、終演後に元気になられることが多いのです。今回の旅でも、二日間とも帰途に就く駅の売店で、日本酒の一合瓶を4本買い込んでから列車に乗り込まれました。

ところが今日は、のぞみに乗った瞬間、「あっ、しもた。マフラー忘れた。楽屋に電話してくれ」。ところが、「ございません」との返事。
「そや、行きしののぞみの中や」「ホンマですか? お兄さん、今朝、マフラーしてはりましたかぁ?」と失礼なことを言う私。
「してたよ。貰いもんやけど、エルメスの上等や。5万円はするで。色はグレー」と喚(ワメ)き出すざこばさん。

女性の車掌が検札に入って来るや否や、「すんません。今朝、博多行きの新幹線にマフラー忘れたかもしれませんねん。分かるかな?」。分からんやろ…と思っていると、彼女は丁寧な口調で「その列車の番号か何か、お分かりですか」と尋ねて来られます。すると、すかさず「新大阪を11時9分に出たのぞみの10号車の15番Aです」。

まるで三枝会長の創作落語『お忘れもの承り所』そのものです。

さらに、ざこば兄さんは「そのマフラーはエルメスの上等なやつなんです。20万円しますねん。あれが無いと、また嫁はんに叱られますねん。今、ウチ、むちゃくちゃですねん」て、知らんがな。しかも、マフラーの値段が上がってる。
さすがの車掌さんも苦笑しながら、「では早速、博多の拾得物センターに問い合わせてみます。しばらくお待ち下さい」と言って、その場を去られました。

 

それから、ざこば兄さんは楽屋では召し上がらなかった楽屋弁当を肴に、日本酒をぐいぐい飲み出します。。私も隣でお相伴f(^_^; まぁ今日も、いろんな方向に話が飛びました。財テクのこと、日本経済のこと、夫婦論…。

 

新神戸駅に近づいた頃、再び車掌さんがやってきて──。

車 掌 「お客様、エルメスのグレーのマフラー、博多駅の拾得物センターに届いておりました」

ざこば 「えっ、ホンマ!? 良かったぁ~。おい、米團治! お前、わしがハナから付けてなかったっちゅうてたな。やっぱり、わし、付けてたやないかい!」

米團治 「あ…すみません、失礼しました。でも、あって良かったですね」

ざこば 「俺、お前の言うこと信じてたら、家に帰ってから、またえらい目に遭うことやったわ。」

車 掌 「…よろしいですか…それでですね、届けたのが乗務員でなくて、お客さんだったものですから、報償の権利が派生するんでございます」

ざこば 「え?」

米團治 「あぁ、拾得物の金額もしくは対価の5~20%のお礼というやつですね」

車 掌 「はい。確か20万円のマフラーでございましたね」

米團治 「ホンマや、お兄さん、20万円の20%やったら、4万円ですわ」

ざこば 「えーっ!? ちゃうちゃう、あれは嘘や、冗談やがな。20万もするかいな。5千円ぐらいのもんや。それもやな、エルメスやのうて、ヘルペスや」

車 掌 「……いずれにせよ、この番号に電話して、あとはご当人同士でお決め下さい」

 

どんな結果となりますやら。乞う、ご期待!