2011.08.17 「屋久島紀行 2日目」

さぁ、屋久島登山です。実は前日、「いよいよ縄文杉に会えるぞ」と思っていたら、案内の未路さんが「この夏は縄文杉を見に行く人がやたら多くてねぇ。蟻の行列みたいにゾロゾロ登って行くんだよ。ようやく辿り着いても、あとがつかえてますからって急かされるしね。縄文杉は次の機会に回してさ、うんと静かで、もっと神氣に満ちている場所があるんだけど、そこに行かない?」と打診され、「じゃあ、そこへ連れて行って下さい」と言わざるを得なくなり、快諾f(^_^)


その山とは、太忠岳(タッチュウダケ)標高1497m。山頂には天柱石(テンチュウセキ)と呼ばれる巨石があり、とても神々しいのだとか。その言葉を信じて、私は午前6時半に起床。午前7時過ぎに宿を出て、ヤクスギランド入口までクルマで移動。そこからトレッキング(散策)コースを歩きました。


午前8時半にトレッキングコースから別れて、登山道に入ります。「太忠岳頂上まで2.7km。往復3~4時間かかります。軽装(登山靴・雨具なし)での入山はご遠慮下さい」との看板に、意を決して坂を登り始めました。やはり、登山道に入るや否や勾配がきつくなり、「果たしてこれは道なのか」という不安の思いに駆られます。時々、木の枝にくくりつけてあるピンクのリボンが頼り。「今日は天気が良かったからいいけど、雨や霧ならホンマに大変やろな」と思いつつ、上へ上へと向かいます。

  登山道への分岐点。

    
太忠岳の森

でも、森の神秘性を充分味わうことができました。樹齢千年以上とおぼしき杉がそこかしこにあり、いろんな種類の木が絡み合って生育しているのです。最も目立つのがヤマグルマ。杉にもたれるように絡まり、その締め付けのきつさから、どちらかが枯れてしまっているものもありました。逆に、杉と相性が良いのが栂(ツガ)だとか…。大きな杉の近くにはたいてい栂が生えていました。また、杉の切り株に別の杉の種が入り、新しい杉が伸びているものや、ガジュマロのように気根を伸ばした杉など、色んな植物の生態系を目の当たりにしながら、登っていきました。


そうそう、雷や台風などで倒れた土埋木(ドマイボク)や流木から、素晴らしい商品が生まれる話を未路さんから聞き、屋久杉の偉大さを知った次第。


ヤクスギランドの入口から約4時間。ようやく頂上に辿り着きました。聳え立つ天柱石の根元部分に横たわる巨石に這い上がり、登頂完了! 「やったぁ」と歓声を上げようとするも、その石の台座は少し斜めになっており、気を抜くことができません。しかも時折、きつい風が吹いてくる。帽子や手拭いが飛ばされないよう、また水筒が転がり落ちないよう、細心の注意を払いながら宿の女将さんに作ってもらったおにぎりを頬張ります。「あー美味し!」。しかし、お弁当を食べながらも気が抜けず…。六甲山や甲山の頂上とは大違い。「初めて本格登山をしたんやなぁ」と実感しましたf(^_^;


30分ほど休息した後、下山開始。下りは上りよりも体力的にはラクだけど、すでにかなり疲れが溜まっているので、転ばぬように気をつけて降りようと思っていると、先導の未路さんが「米(ヨネ)さん、ちょっとこっちへおいで」と、道無き道を登り始めました。「また登るんかいな」と、心の中でボヤキながら付いていくと、再び大きな岩の上に到着。すると、一瞬にして視界が広がり、振り返るとそこにはあの巨大な天柱石が…いや、天柱石さまがお立ちになっているではありませんか! そのお姿の何と神々しいこと! 私はただただ「うわあぁ~」という叫び声を出すばかり。周りを見渡せば、それはそれは美しい緑の山肌。しかし、下を見ると、幾何丈とも知れぬ深い谷。再び私は「ぅああー」!!


神氣を充分吸い込んで、夕方、麓へ無事帰還。その晩は、屋久島の焼酎「三岳(ミタケ)」で酔いしれました(^ー^) 


(続きは次回で)

  
山頂の天柱石。                       天柱石を正面から拝む。

 
山上からの眺め。                             未路さん、今日もありがとう。