2010.09.11 「白鳥のみずか」

翌朝(9月6日)はJR北陸本線の特急サンダーバードで富山へ向かいました。富山駅前のオーバードホールでのトークイベント「オペラの楽しみ方」に出演したのです。3日に“おぺらくご”を演じ、その興奮が醒めやらぬ私には絶妙のタイミングです。

暑い暑いと言いながらも車窓からの眺めは秋色をしていました。沿線の田んぼの稲が黄緑から黄色に変化している様子に「着実に秋は来てるんや。しかも、今年のコメは豊作や」と一人、悦に入っていました。忙中閑有り。忙しければ忙しいほど、移動時間が有難く感じられますね。

富山駅に着くと、まず北日本放送の人気番組「ご近所ラジオNKB」で喋らせていただき、その後すぐに劇場入り。すると、そこに見目麗しき女性がおられました。バレエダンサーの上野水香(うえの・みずか)さん。その日は彼女と私がバレエやオペラの魅力をたっぷりと語り合うという趣向だったのです。

実は私、彼女の舞台はずっと以前に一度観たきりでした。それも、その頃は彼女の存在を知らず、人に誘いを受けて『白鳥の湖』というバレエそのものを観に行ったのです。

ところが、黒鳥役で出てきた彼女の姿に目が釘付け。凄い人がいるなぁとびっくりし、休憩時間にパンフレットを見ると、上野水香。「うえのみず・かおるか…」などと、おかしな読み方で遊んだものでした。 失礼(^_^;)

今や押しも押されもせぬ東京バレエ団のプリンシパル、上野水香さんとご一緒できるなんて、何たる幸せ! 天にも昇る気持ちでお話しを始めると、バレエでのシャープな舞台姿からは想像もつかぬ気さくさと正直さが伝わってきたのです。私の質問に一つ一つ丁寧に答えて下さるお姿に、私は「いつか彼女とコラボをしてみたい」と思うに至りました。いや…ダンスではありませんよ。バレエと落語のコラボです。

暑さも忘れ、清涼感とともに帰宅。すると、リビングで鈴虫の鳴き声がしているではありませんか。「えっ、どこで鳴いてるのん? 外かなぁ…いや、部屋の中から聞こえてくるで…」 よく耳を凝らしてみたら、何とクーラーを使いすぎたため、半分壊れかけた空調が悲鳴のような音を発していたのでした。それがまぁ何と鈴虫の音色にそっくり。クーラー使用に飽きが来ていたとは…。お粗末。