桂小米朝の「新・私的国際学」<19>(2003年8月17日)

対立が激化するイスラエル・パレスチナ問題――。私は素朴に思う。パレスチナの人たちはかわいそうやなと・・・。

英国の二枚舌外交の結果、長年彼らが住んできた土地にユダヤ人国家が作られ、多くのイスラム教徒が追い出された(1948年)。しかも、第三次中東戦争以降はイスラエル軍がパレスチナ自治区にどんどん侵攻し、いまなお沢山のユダヤ人入植地が存在する。アメリカの支援を受けた軍事力に対し、彼らは投石か自爆・・・。むなしいな。

もし、今の日本に突然「縄文人」と称する部族がやってきて、「かつてここはわれわれの土地だった。弥生時代の末裔は出ていきなさい」と言われたらどうだろう。おかしいよねぇ。

それがまかり通るのが現イスラエルなのだ。「三千年前、ここはわれわれの土地でした。度重なる迫害を受け、同胞は世界中に離散したのです。旧約聖書の預言通り、われらは約束の地に帰還すべきなんですよ」と・・・。

だが、その契約は正統派のユダヤ教徒に対する神託ではなかったか。偽善者に対するものではあるまい。かつて、ユダヤ人イエスが排他的なタルムード思想に凝り固まった律法学者に「あなたがたの考えはご都合主義だ」と罵倒して、処刑された話は有名。その結果、キリスト教が生まれ、両者の溝は深まった。が、イエスを信奉したユダヤ教徒も少なくなかった。

また、ユダヤ人の定義があいまいであるため、次第に係累が複雑化した。本来、アブラハムやダビデと言った聖書の英雄は、ノアの息子(セム、ハム、ヤペテ)のうち、セムの子孫に限られている。すなわち黄色人種!ところが、現在のイスラエル高官はほとんど白人系。ゆえに、作家、アーサー・ケストラーの「彼らの多くはハザール帝国(かつて黒海とカスピ海の間に位置した国)の子孫であって、古代イスラエルの血統ではない」という説が広まった。

そろそろ、真のユダヤ人が中心となってイスラエルを考える時期が来たようだ。パレスチナの過激派を増やさぬためにも・・・。