桂小米朝の「新・私的国際学」<15>(2003年7月13日)

欧州連合(EU)の本部はブリュッセルにある。国連(UN)の常任理事国でもなければ、いわゆる経済大国でもないベルギーの首都がなぜ本部に選ばれるのか。それはベルギーが王国だからである。

「民主主義」が浸透している今日にあって、ヨーロッパは今なお王国でひしめいている。ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、ベルギー、オランダ、スペイン・・・。公国だが、ルクセンブルクとリヒテンシュタイン。また、共和制になったが、ロシア、フランス、イタリア、ギリシャなどは王室の香りに満ち溢れている。むしろ、王国として名高いイギリスが欧州の中心からはずれているのがうかがえる(だから、アメリカと手を組むのか・・・。)

すごいのは、ヨーロッパ各国の王室がほとんど婚姻関係にあるということ。どこもかしこも『ベルサイユのばら』状態。彼らが参加する国際サロンで重要な協定が結ばれている事実を見逃してはならない。

最近では、6月にフランスで開催されたエビアン・サミットや、ギリシャのテッサロニキでのEU首脳会議。はたまた、5月にパリ郊外のベルサイユで開かれたビルダーバーグ秘密会議などがあげられる。

そのことは、6月21・22日付けの本紙朝刊に詳しい。それによると、2006年をめどにEUの大統領が出現し、世界に冠たる大欧州連合が完成するのだそうな。

当然のことながら、そこに日本は入っていない。肝心の所では、いつもカヤの外。私は思う。一度、皇太子殿下がサミットにご出席下さればなぁと・・・。日本の皇室に参政権がないのは重々承知しているが、大抵の国際会議は文化や経済がテーマ。政治と切り離して考えられる。欧州諸国は王室を絡めているのだから、彼らと対等に渡り合うには一介の総理大臣ではだめ。皇室に動いていただいてこそ、実のある外交ができるのではないだろうか。それが実現したとき、日本は世界の主役となる。