桂小米朝の「新・私的国際学」<2>(2003年4月13日)

拝啓、小泉純一郎殿。

昨秋、郵送した私案『一日で不良債権をなくす術』はいかがでしたか。紙幣をいくら刷ってもいいから、日銀に銀行の不良債権を全部買い取らせ、それと同額の国債を銀行に買わせる方法――。一瞬にして政府に金が入り、円安に振れ、国内産業が潤い、デフレが止まるという秘策。

なんとか採用していただきたいと思っていたところ、銀行マンの友人から、ちょっと面白い本が送られてきました。タイトルは『ハゲタカは飛んでゆく』(ラリー・S・ジュニア著、実業之日本社刊)。

それによりますと、日本経済が立ち直れないのは「いかに株価が下がろうとも、国際金融財閥により円高ドル安にシフトされているため」「日銀がゼロ金利政策をとらされ続けているため」「日本が四百兆円以上保有しているとされているアメリカ国債や海外資産を売らしてもらえぬため」の三点に集約されるとのこと。逆に、この三つが解消すれば、日本は立ち直ると明言しています。すなわち、①大幅な円安誘導、②ゼロ金利政策の解除、③米国債の自由売買の実行です。

そして、日本が進んでイラク戦争に協力することで国運が開けるとしています。具体的には、新法を制定して海上自衛隊を総動員させ、百億ドルの戦費協力を申し出る。但し、支払いは米国債で!これぞ「経済を戦争で買う」手法だと結んでいます。

ユニークですが、これは少々中途半端。私はさらに「経済で戦争を買う」作戦を考えました。新法を制定して海上・航空による国境警備隊に再編し、空母や戦闘機をアメリカから一兆ドル分購入する。やはり、支払いは米国債で・・・。これにより、自主防衛が確立し、雇用も促進します。

総理!多大なイラク復興支援まで約束された今、財源が問題です。どうか、「アメリカの兵器を米国債で買う」と仰ってください。さすれば貴殿は大宰相!さもなくば・・・。