小米朝流「私的国際学」<17>(2001年4月28日)

大型連休の到来!大阪を訪れる人に秘密の観光スポットをお教えする。伊丹空港南端の河川敷だ。ここでは(逆風でない限り)着陸寸前の飛行機がめっちゃ間近に見られる。福岡空港も似ているが、便数や迫力の点で伊丹の方が上。世界一のロケーションといっていい。

場所は、阪神高速空港線の下を走る一般道路、曽根南町三丁目の交差点を西へ600メートル。原田大橋という名の小さな橋のたもとで車を降りて、千里川の土手を100メートルほど歩いた所。そこが着陸コースの真下だ。フェンスにもたれて、ジェット機の帰りを待つ。まず遠くにUFOのような光が見え、次第に大きくなり、やがて形がはっきりする。大きな金属音でジャンボが通過するときなど「わぁ、車輪が頭に当たる~」と、しゃがみ込む人も・・・。次の瞬間、機体は見事にランディング。昼間はスリルが、夜にはムードが味わえる。私も以前はよくデートで利用したものだ。

ところが、いつだったか、原田大橋周辺の道路の中央線に次々とポールが立てられ、路肩に車が停められなくなってしまった。もともとここは駐車禁止区域だったが、暗黙の了解で停めていたのだ。が、もはや、それができぬ。駐車スペースを確保するのが難しくなり、人影が減っている。

私は悲しくなった。どうして「ここに駐車場を作ろう」という発想が持てないのか。例えば、隣の原田下水処理場に依頼して、そこを駐車場にする。工場の方も一般見学会をどんどん実施すれば、市民の環境意識も高まるというもの。あるいは、空港ターミナルから循環バスを運行させ、観光客がフラッと立ち寄れるようにする。そして、ターミナルビルには、飛行シミュレーションなどの遊具を揃えて、〝航空科学ゾーン〟を設けたらどうだろう。

夢のある空港にすれば、国際集客都市としての価値も上がるはず。この提案、だれか取り上げてくれないかなぁ。

一言加筆・・・このエッセイを書いた2001年から10年以上が経過した今、黒字の伊丹空港は衰退の道を辿らされています。すでにジャンボは就航しなくなり、便数も減らされ、赤字の関空と経営統合されました。悪天候で関空が閉鎖された時も大抵運航している伊丹空港は、残しておくべきだと私は思います。ちなみに、昨年逝去された小松左京氏が昭和48年に発表した『日本沈没』の中で、大阪湾に作られた関西国際空港が地盤沈下により浸水して行く件りがあります。いや…私は綺麗な関空も大好きですが(^o^ゞ