「言いたい放談」<9>(2007年8月3日)

今や国民総必需品となりつつある携帯電話。それだけに割引合戦も熾烈です。いかに他社より割安感を打ち出すか――。

ドコモとソフトバンクが同時に「9月から、家族最長契約者の割引率を家族全員に適用する」と発表。その名もドコモが「ファミ割MAX」、ソフトバンクが「家族割引MAX」。内容も名前もほぼ同じです。

それに対してauは、契約したその日から基本料金が半額になる「誰でも割」を、やはり9月から実施すると発表しました。

すると再びドコモが、ファミリー割引に加えて基本料金も半額にある「ファミ割MAX50」を8月22日から実施すると打ち出したのです。同日、ソフトバンクも「家族割引MAX50」を発表。

一体どこまで続くのでしょう。安くなるのは嬉しいけれど、企業は利益を生まねばならないので、実は細かな制約が付いたりしています。「結局どこが安いの?」と困惑するお客様以上に、現場の社員が困惑しています。新システムへの対応に大わらわ。

彼らの多くは契約社員や派遣社員たち。企業努力の影響をもろに受ける先兵です。顧客の満足度を上げるために価格を下げた結果、従業員が満足できぬ状態が続いているのです。そろそろ発想を転換する時期に来ているのではないかな。社員がしっかり勉強できるゆとりある体制を作る。それができないなら、せめて有給休暇の未消化分を現金で渡すぐらいのことはすべきです。これこそ本当の企業努力では?「顧客満足」は「従業員満足」があってこそのものだと私は思います。