2010.11.29 「朝霞で初物づくし」

ミミさんのディナーショーの興奮冷めやらぬまま、今日は埼玉県まで行きました。

関西の芸人にとって、東京より北側の関東エリアは未開の地と言っても過言ではありません。 滅多に行く機会がないのです。 やはり、新幹線で東京まで行ってから、上野や池袋に出て、まだ乗り継がなければなりませんからね。 交通費や時間的なことなどで、昔からプロモーターが関西の芸人を敬遠する風潮があり、群馬・栃木・茨城あたりの仕事は、飛行機で東北地方へ行く回数よりうんと少ないのが実状です。

そんな中、埼玉県は他県に比べたら、行く機会もママあるほうですが、それでも朝霞市は全く初めての土地でした。 何しろ、朝霞駅に着くまで電車の中で何度も「あさがすみ」と連呼していたのですから…。 「朝霞駅」のルビを見た瞬間、恥ずかしくなりました。 「えっ、あさか? まさか」。 私の考え浅かった。

そんな「あさか寄席」のメンバーが、また初めての顔ぶれです。 前座のらく兵クンに始まって、たい平、志らく。 中入の後、喬太郎、うめ吉、そして米團治。 私が一番の年長です。 米團治・志らく・喬太郎・たい平の4人が顔を揃えるという初めての組み合わせに、私は興味津々な思いで会場に入りました。 この顔合わせに興味を持った方も多かったと見えて、チケット完売。

今回は演目は当日のお楽しみ故、トリを勤める私はデ~ンと構えて、前の人のを聴くしかない。 でも、面白かった。 『お見立て』たい平、『死神』志らく、『かぜうどん』喬太郎。 十八番ネタの連続に、いつしか私はお客のような気持ちで聴いていました。

実は、今日は私の出番前に膝がわりとして、桧山うめ吉さんの三味線演奏がありました。 どんなオッサンかと思うでしょ。 実は女性なのです。 恥ずかしながら、私も男性だと思い込んでいました。 舞妓さんのように髪を結い上げたうら若き娘さんが、可愛い声でゆったりとお喋りをしながら、三味線を弾き、お座敷唄の数々を歌うのです。 彼女が歌えば、どんな卑猥な歌詞でも清純なものに聞こえてくるから不思議です。 これまで三遊亭小円歌や内海英華しか知らなかった私は、この俗曲師をなんとか守ってあげたいという衝動に駆られてしまいました。 最後に立ち上がって「茄子とかぼちゃ」を踊り出した時には、祝儀袋を用意している自分がいました(何とかそれは思い留まりましたが)。 いやぁ、私が言うのも何ですが、寄席芸は多種多様ですね。

そして、私の出番です。 高座に上がるなり、今の彼女の舞台姿の話をすると、かなりの賛同を得ました(特にオッサンから)。 温かい拍手に支えられ、『蔵丁稚』を喋って、幕──。

初物づくしが良い方向に動いたお蔭で、私はとても充実した気分で初めての土地、朝霞市を後にしました。 これからもどんどん北関東を開拓したいので、応援よろしくお願いします☆