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桂小米朝の「新・私的国際学」<37>(2004年1月18日)

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牛丼の吉野家が、カレー丼やイクラ鮭丼といった代替メニューを作りだした。米国でBSE(牛海綿状脳症)に感染した牛が見つかり、米国産牛肉の輸入が禁止されたためである。今は「特盛」の販売が中止されているだけだが、このままだと来月には在庫が底をつくとのこと。

衆議院議員の山田正彦氏が、カナダでBSE感染牛が見つかったとき、アメリカの牛肉も危険だとさかんに警鐘を鳴らしていたが、その心配が現実のものとなった。

近年、輸入に依存する傾向はさらに強まった。穀物メジャーと称される大企業が経済効率を重視した生産を展開。牛に遺伝子組み換えが施された飼料を与え、ホルモン注射で肉を柔らかくして出荷――。冷静に考えたら身体に悪そうだが、現実にはどんどん消費されている。「安さ」を追い求めた結果、今日の惨状を招くに至った。

日本の港にはいつも輸入食品が野積みされている。中にはホルマリン漬けのフグもある。3か月放置しても腐らない。

かつて日本は、農林水産業においては、大いなる生産力と誇りを持っていた。が、「自由化」というわけのわからぬ言葉にほんろうされ、いつしか穀物自給率は27%に低下。対して、アメリカのそれは134%、フランスに至っては176%。

実はアメリカは、対外的には規制撤廃を要求しながら、国内向けには年間3兆円もの助成金を出している。自給率が高いことが先進国の大前提なのだ。

平和をおびやかすものは核兵器による攻撃だけではない。石油と食糧の供給をやめられたら、今の日本、すぐに息の根が止まってしまう。世界経済を動かす三大要素は、軍事力とエネルギー、そして〝食〟だ。

うまく生きようよ。日本が独自性を発揮できるのは〝食〟ぐらいなもの。笑顔で輸入食品の恩恵を受けながら、その横で管理体制を強化して、国内生産を増やそうではないか。まずは、自給率60%を目標に!