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桂小米朝の「新・私的国際学」<26>(2003年10月19日)

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関西はクラシック音楽の愛好家が多い。聴き手というより、演じ手の・・・。


オーケストラの名前をざっと挙げると、大阪フィルハーモニー交響楽団、京都市交響楽団、関西フィルハーモニー交響楽団、大阪シンフォニカー交響楽団、芦屋交響楽団、神戸フィルハーモニック・・・。室内楽サイズではテレマン、京フィル、モツ管、エウフォニカ・・・、略語で言わねば紙幅が足りなくなる。


これは東京のオケの数と比べても、人口を考えると、おびただしい数だと言える。いずこもお家の事情は厳しいのに、みんな元気に頑張っている。関西出身のプレーヤーは関西圏にとどまらず、全国に散らばっており、地方のオケで大阪弁がいやに大きく聞こえることも少なくない(特に群響)。客集めには苦労するが、プレーヤーには事欠かぬ。これは「カネ出して見るより、自分が演じたい」という芸人魂がクラシック業界にも及んでいる証左ではないか。


この気質は指揮者にも及んでいて、国際指揮者コンクールで優勝するのは何故か関西人が多い。佐渡裕、阪哲朗は京都出身。曽我大介、金聖響は大阪出身。藤岡幸夫は東京出身の慶応ボーイだが、聞けばお母さんと奥さんが大阪人だというし。金聖響が実践しているピリオド・アプローチ奏法は、ダニエル・ハーディング率いるマーラー・チェンバー・オーケストラに迫る勢いだ。


この集団を音楽評論家の響敏也氏は「在日関西人」と呼んでいる。言い得て妙だ。音楽会の国際交流は関西人なくしては成し得まい。


私もコンサートの舞台に立つときは、お笑い芸人の魂をぶつけている。「わかったふりして聴かないで、ときには笑ってリラックス。そのあとすてきは音楽をどうか心で聴きましょう。感動が倍増すること請け合いです」とね・・・。


芸術の秋、あなたも生のオーケストラの醍醐味を是非一度!